だんご汁(大分県)

大分県では、粉食文化の一環として「だんご汁」が古くから親しまれています。小麦粉を練って帯状にのばした“だんご”を、味噌仕立ての汁に入れて煮込むこの料理は、米の代用食としても食べられてきました。山間部では特に、米が貴重だった時代に、家庭の食卓を支えた日常の味です。野菜と味噌のうま味が染みた素朴な一椀は、今でも冬の定番メニューとして県民に愛されています。
だんご汁の歴史
大分県は山が多く平地が限られるため、古くから米よりも麦を中心とした食文化が発展してきました。麦を粉にし、こねてのばしただんごを味噌汁に入れて食べるという調理法は、手軽で栄養もあり、農作業の合間にも重宝されました。特に農村部では、収穫後の慰労や家族団らんの料理として定着してきたといわれています。
だんご汁(大分県)の豆知識
- 「だんご」は団子ではない?
大分の「だんご汁」に使われる“だんご”は、丸めるのではなく、平たくのばして帯状にしたもの。讃岐うどんよりやや太く、もちもちとした食感が特徴です。 - 味噌仕立てが基本
だんご汁は麦味噌や合わせ味噌などを使った味噌仕立てが主流。地域や家庭によって味噌の種類や具材も多彩にアレンジされます。 - 植物性たんぱく質が豊富
小麦には6〜14%ほどの植物性たんぱく質が含まれ、血や筋肉を作る上で重要な栄養源になります。だんご汁は動物性食品を加えなくても、栄養バランスの良い食事になります。
薬剤師の食育コメント
だんご汁は、体を芯から温めながら、良質な炭水化物や植物性たんぱく質、食物繊維を手軽に摂れる栄養豊かな料理です。味噌仕立てのスープは腸内環境を整え、免疫力の維持にも効果が期待されます。
また、野菜をたっぷり入れたバランスの良い一椀として、忙しい日の主食兼おかずにもなる便利な郷土料理です。特に食が細くなりがちな高齢の方や、成長期の子どもたちにおすすめです。

だんご汁の作り方
材料|4人前
- 小麦粉 … 200g
- 水 … 100〜120ml
- ごぼう … 1/2本
- にんじん … 1/2本
- 大根 … 1/6本
- 里いも … 2個
- ねぎ … 適量
- 味噌(麦味噌または合わせ味噌) … 大さじ3〜4
- だし汁 … 約800ml
調理ステップ
- ボウルに小麦粉と水を入れてこね、耳たぶほどの固さにまとめてラップで包み、30分ほど寝かせる。
- 生地を薄くのばし、1〜2cm幅に帯状に切る。
- 野菜は食べやすい大きさに切り、だし汁で煮る。
- 野菜が柔らかくなったら、だんごを加えて煮る。
- 火が通ったら味噌を溶き入れ、ねぎを加えてひと煮立ちさせたら完成。