からしれんこん(熊本県)

熊本県を代表する郷土料理「からしれんこん」は、れんこんの穴に辛子味噌を詰め、衣をつけて揚げた刺激的な味わいが特徴の一品です。鼻にツンとくる辛みとれんこんのシャキシャキした食感がクセになる美味しさで、ごはんのおかずはもちろん、お酒のつまみとしても人気があります。お正月や祝い膳の定番料理として親しまれ、熊本土産としても定着しています。
からしれんこんの歴史
からしれんこんは、熊本藩主・細川家の時代に考案されたとされる料理です。れんこんの穴に辛子入りの味噌を詰めることで「見通しが良くなる」「辛さに打ち勝つ」などの縁起を担いだ意味もあり、藩主の健康食・精進料理としても用いられました。現在では、正月料理やお祝い事の定番として、各家庭や専門店の味が受け継がれています。
からしれんこん(熊本県)の豆知識
- 衣の黄色の秘密
からしれんこんの衣が美しい黄色をしているのは、卵黄やウコン、クチナシなどの天然色素を使っているため。目にも鮮やかで食欲をそそります。 - 家庭ごとに異なる味噌ダネ
辛子味噌には麦味噌やおから、はちみつを加えるなど、家庭やお店ごとに工夫されたレシピがあります。味噌の甘みと辛子の刺激のバランスが味の決め手です。 - れんこんのビタミンCは熱に強い
れんこんにはビタミンCが豊富で、みかんの約1.5倍含まれています。でんぷん質がビタミンCを熱から守るため、揚げ調理しても栄養価が保たれるのが特徴です。
薬剤師の食育コメント
からしれんこんは、食欲を刺激する辛子と味噌の風味に加え、れんこんの食物繊維やビタミンCなどの栄養素をおいしく摂れる郷土料理です。
れんこんに含まれるでんぷんがビタミンCを守るため、揚げ調理でも栄養の損失が少なく、疲労回復や免疫力の維持、美肌づくりにも役立ちます。
食べすぎには注意が必要ですが、刺激を楽しみながら体をいたわる、熊本らしい知恵の詰まった一品です。

からしれんこんの作り方
材料|4人前
- れんこん … 中2節
- 麦味噌 … 大さじ4
- 粉からし … 大さじ1
- はちみつ … 小さじ2
- 薄力粉(衣用) … 適量
- 卵黄 … 1個分
- ウコンまたはクチナシ粉末(任意) … 少々
- 揚げ油 … 適量
調理ステップ
- れんこんは皮をむき、両端を切って穴の中を流水で洗い、水気をしっかり拭く。
- 麦味噌、粉からし、はちみつをよく混ぜ、れんこんの穴に隙間なく詰める。
- 詰め終えたれんこんを冷蔵庫で1〜2時間ほど寝かせ、味をなじませる。
- 薄力粉・卵黄・ウコンを水で溶いた衣を作り、れんこんにまとわせる。
- 160〜170℃の油でじっくり揚げ、表面がカリッと色づいたら完成。食べやすく輪切りにして提供。