いかなごのくぎ煮(兵庫県)

日本の郷土料理「いかなごのくぎ煮(兵庫県) | 食育大事典

いかなごのくぎ煮(兵庫県)

兵庫県では、毎年2月末〜4月の新子漁で獲れたいかなごの稚魚(新子)を「くぎ煮」として炊き上げます。その光景は、兵庫県の春の風物詩として親しまれています。

甘辛く煮詰めて炊き上げたくぎ煮は、ご飯のお供として、また贈答用としても重宝され、毎年いかなご漁の解禁を待ちわびる地域も多く、特に播磨灘沿岸の漁港が有名です。ちなみに「くぎ煮」という名前の由来は、炊き上げた姿が錆びた古釘に似ていることからと言われています。

いかなごは、体長5~10cmほどの小魚で、成長過程に応じて呼び名が変わる魚です。漁獲量の大部分を兵庫県が占めていますが、他にも北海道・東北・瀬戸内海で多く漁獲されます。

いかなごのくぎ煮の歴史

いかなごのくぎ煮が家庭料理として広く作られるようになったのは昭和40年代以降とされています。もともとは漁師向けに濃い味付けを一般向けに改良したのがきっかけだそう。また阪神淡路大震災の際に、兵庫県の被災者たちが支援のお礼にと日本各地にくぎ煮を送ったことが全国に広まるきっかけになったとも言われています。

くぎ煮は、冷蔵・冷凍技術の発展前は保存性の高い甘辛煮が重宝されており、各家庭で独自の味付けが工夫されてきました。神戸市や明石市周辺では、春の風物詩として親しまれ、今でも「くぎ煮を炊く香り」が街中に漂います。

いかなごのくぎ煮(兵庫県)の豆知識

  • いかなごのくぎ煮のポイントは?
    炊きすぎないことが柔らかさを保つコツ。強火で一気に煮詰めず、中火でじっくり煮て艶を出すのがポイントです。
  • いかなごはどこで獲れる?
    ほぼ全国で獲れますが、産地として知られているのは瀬戸内海です。兵庫県は全国でもトップクラスの水揚げ量を誇ります。船曳網という3隻編成の漁法で、2隻が網を引き、もう1隻が魚群を探して運搬を担う独特のスタイルが特徴です。

薬剤師の食育コメント

いかなごにはカルシウムやDHAが豊富に含まれており、骨や脳の健康を支える栄養源として優れています。くぎ煮にすることで保存性が高まり、食卓でも無理なく栄養を摂取できる理想的な常備菜です。

食育大事典の郷土料理

いかなごのくぎ煮の作り方

いかなごのくぎ煮(兵庫県)の作り方

郷土料理材料材料|2人前

    【材料】

  • いかなご(新子)・・・300g
  • しょうゆ・・・100ml
  • 砂糖・・・100g
  • みりん・・・大さじ2
  • 生姜(千切り)・・・1かけ

郷土料理調理ステップ調理ステップ

  1. いかなごは洗って水気をよく切る。
  2. 鍋にしょうゆ・砂糖・みりん・生姜を入れて中火にかける。
  3. 煮立ったらいかなごを静かに入れ、落とし蓋をして弱火~中火で煮詰める。
  4. 煮汁がほとんどなくなり、照りが出たら火を止める。
  5. 冷ましてから保存容器に移す。日持ちするので作り置きに最適。