鯛麺(愛媛県)

鯛麺は、愛媛県の瀬戸内海側を中心に伝わる郷土料理で、祝いの席やお正月などハレの日に欠かせない一品です。焼いた鯛を丸ごと素麺に添えて供されるのが特徴で、地域によっては「鯛そうめん」や「鯛素麺」とも呼ばれます。鯛の出汁がしみ出たつゆと素麺がよく絡み、上品で奥深い味わいに仕上がります。
鯛は「めでたい」に通じることから縁起の良い魚とされ、古くから婚礼や節句の膳に使われてきました。伊予の国・愛媛県は、特に鯛の漁獲量が多く、新鮮な鯛が身近にあるため、こうした料理が発展した背景があります。焼き鯛を丸ごと盛り付けた豪華な見た目は、ごちそう文化を今に伝える伝統のかたちです。
鯛麺の歴史
鯛麺の起源は明確ではありませんが、江戸時代にはすでに祝いの膳として振る舞われていた記録が残っています。漁業が盛んな瀬戸内海に面した愛媛では、新鮮な鯛を使った料理が多く、特に婚礼料理や祭礼においては、焼き鯛を丸ごと使ったこの料理が定番とされてきました。
鯛麺(愛媛県)の豆知識
- なぜ素麺と合わせるの?
素麺は「細く長く」を連想させることから、長寿や縁の継続を祈る縁起物とされており、鯛とともに祝い膳に使われる組み合わせです。 - 鯛の調理法は?
塩焼きにしてから出汁に加えるのが一般的。頭から尻尾まで丸ごと盛り付けるのが祝い膳の定番スタイルです。 - どんな時に食べるの?
婚礼、出産、正月、節句などの人生儀礼や年中行事で供され、現在でも家庭や料亭で大切な場に登場します。

薬剤師の食育コメント
鯛は高たんぱく低脂肪で、ビタミンB群やタウリンが豊富。特に血圧やコレステロールが気になる方にもおすすめの食材です。素麺と合わせることで消化にも良く、疲労回復効果も期待できます。

鯛麺の作り方
材料|4人前
- 鯛(中)…1尾
- 素麺…4束
- だし汁…800ml
- 薄口しょうゆ…大さじ2
- みりん…大さじ1
- 塩…少々
調理ステップ
- 鯛はウロコを取り、内臓を除いて洗い、塩を振ってグリルまたは魚焼き器で焼きます。
- 鍋にだし汁を入れ、しょうゆ、みりん、塩で味を整えます。
- 焼いた鯛をだしに加えて10分ほど煮出し、旨味を引き出します。
- 素麺は固めに茹でて水洗いし、水気を切って器に盛ります。
- 素麺の上に鯛を丸ごと乗せ、熱々のだしを注いで完成です。