鶏飯(鹿児島県)

日本の郷土料理「鶏飯(鹿児島県)」| 食育大事典

鶏飯(鹿児島県)

鶏飯(けいはん)は、ほぐした鶏肉に錦糸卵、干ししいたけ、パパイヤの漬物、刻んだみかんの皮などを白ごはんにのせ、鶏ガラスープをかけて食べる、奄美地域を代表する郷土料理です。多彩な具材が調和する味わいと、あっさりした食感が特徴で、暑い季節でも食べやすく、家庭でもよく親しまれています。

鶏飯の歴史

かつて奄美群島が薩摩藩の支配下にあった時代、本土から訪れる役人をもてなすため、島の人々が貴重な鶏を使って振る舞ったのが鶏飯の起源とされています。当時は鶏の炊き込みごはんに近い形でしたが、昭和期に入り、具材をごはんにのせ、澄んだ鶏スープをかけて味わう現在のスタイルが定着しました。もてなしの心が受け継がれた、温かみのある一品です。

鶏飯(鹿児島県)の豆知識

  • スープで味が決まる
    鶏飯の要はスープ。鶏ガラやネギ、しょうがなどをじっくり煮込んだ澄んだ出汁が、具材やごはんをやさしく包み込みます。
  • みかんの皮が香りのアクセント
    奄美では、乾燥させたみかんの皮(陳皮)を細かく刻んでのせることが多く、爽やかな香りが全体を引き締めます。
  • 鶏肉のたんぱく質は良質
    鶏肉には、体づくりに欠かせない必須アミノ酸をバランスよく含む良質なたんぱく質が豊富。成長期や回復期にも適した栄養源です。

薬剤師の食育コメント

鶏飯は、消化の良い鶏ガラスープと、あっさりした具材の組み合わせが体にやさしい一椀です。特に鶏肉のたんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚の修復などに必要な栄養素が含まれ、日々の健康維持に役立ちます。

さらに、ごはんと具材を一緒に摂ることで、糖質・ビタミン・ミネラルなどもバランスよく補えるため、食欲が落ちがちな時期にもおすすめです。

食育大事典の郷土料理

鶏飯の作り方

鶏飯(鹿児島県)の作り方

郷土料理材料材料|4人前

  • 鶏むね肉 … 1枚(約300g)
  • 干ししいたけ(戻したもの) … 2枚
  • 卵 … 2個
  • パパイヤの漬物(なければたくあんでも可) … 適量
  • みかんの皮(乾燥させたもの) … 少々
  • 刻みねぎ・刻みのり … 適量
  • ごはん … 茶碗4杯分
  • 鶏ガラ … 1羽分(またはスープストック)
  • しょうが・塩・酒 … 適量

郷土料理調理ステップ調理ステップ

  1. 鍋に鶏ガラ、水、しょうが、酒を入れて火にかけ、アクを取りながら1時間ほど煮てスープをとる(市販の鶏ガラスープでも可)。
  2. 鶏むね肉は別鍋で茹でてほぐす。
  3. しいたけは甘辛く煮て細切りに、卵は錦糸卵にする。
  4. パパイヤの漬物やみかんの皮、刻みねぎなどを準備する。
  5. ごはんを器によそい、具材を彩りよくのせ、熱々の鶏スープを注いでいただく。