冷や汁(宮﨑県)

宮崎県を代表する郷土料理「冷や汁」は、焼いた魚のほぐし身と味噌を冷たいだしでのばし、きゅうりや豆腐、薬味を加えてご飯にかけて食べる、夏にぴったりの涼やかな一品です。
暑さが厳しい南九州の気候に合わせ、食欲の落ちる時期でもさらりと食べられるよう工夫されています。香ばしい味噌の風味と、冷たい汁の喉ごしが特徴です。
暑さが厳しい南九州の気候に合わせ、食欲の落ちる時期でもさらりと食べられるよう工夫されています。香ばしい味噌の風味と、冷たい汁の喉ごしが特徴です。
冷や汁の歴史
冷や汁の起源は古く、平安時代の「冷やし汁」が原型といわれています。宮崎県では江戸時代に庶民の家庭料理として広まり、特に農作業の合間や夏場の昼食に重宝されました。
魚と味噌を焼いて香りを引き立て、冷たいだしでのばすことで保存性も高まり、栄養補給にも優れていたため、生活の知恵として受け継がれてきました。
冷や汁(宮崎県)の豆知識
- 魚はアジが定番
冷や汁に使う魚はアジが最も一般的ですが、いわしやさばを使う地域もあります。焼くことで臭みが消え、香ばしさが増します。 - 味噌は麦味噌が主流
宮崎では甘みのある麦味噌が好まれます。香ばしく焼くことで、香りと深みがアップします。 - 薬味で栄養と風味をプラス
青じそやみょうが、ねぎなどの薬味を加えることで、香り豊かに仕上がり、ビタミンやミネラルも補えます。
薬剤師の食育コメント
冷や汁は、たんぱく質を多く含む魚と豆腐、ビタミンやミネラルが豊富な野菜や薬味を組み合わせた、栄養バランスの良い一品です。
特に夏場の水分補給と塩分補給が同時にでき、食欲が落ちた時にも食べやすいのが魅力です。
麦味噌の香ばしさと冷たいだしの組み合わせが、体をクールダウンさせつつ栄養も届けてくれます。

冷や汁の作り方
材料|4人前
- アジ(開き) … 2尾
- 麦味噌 … 大さじ4
- きゅうり … 1本
- 木綿豆腐 … 1丁
- 青じそ … 5枚
- みょうが … 1個
- だし汁(冷やしたもの) … 800ml
- 白ごま … 大さじ2
- ごはん … 適量
調理ステップ
- アジを両面こんがりと焼き、骨と皮を取り除いて身をほぐす。
- 麦味噌を焼いて香ばしさを出し、ほぐしたアジとすりごまを加えてよく混ぜる。
- 冷たいだし汁を少しずつ加えて味噌を溶きのばす。
- きゅうりは薄切り、豆腐は手で崩し、青じそ・みょうがは千切りにする。
- 汁にきゅうりと豆腐を加え、ごはんにかけて薬味をのせて完成。